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ようやっとぬかるみを抜け出せたのやもしれぬ。
蒼樹仁はぽつりと呟いた。己が成すべきは何か。己が辿るべき道はいずれか。蒼樹には次第にそのひと筋の光明が見え始めてきていた。
たとい身は江戸が市中に朽ちるとも 魂(たま)は歴史の雄(ゆう)やまもらん。
そう謳うがごとくに口にすると、三十路絡みの赤子は香り始めた白梅を振り仰いで晴れ晴れと笑った。そよりと微風がそれを包み込んだ。



ちと小説風に仕立ててみたでおじゃる。

何のこっちゃかと言うと、あっしには、かかわりのねえことでござんす、という事である。
解らぬか、解らぬであろうな。解ったら逆にコワい。

順を追って話そう。
まず、少し前の日記『夜と霧の~』で小説家志願者としての自分の取るべき方向性に対する逡巡をつらつらと書いた。
あれに対する自分なりの答えが漸く見付かったのである。

蒼樹が扱うのは主として歴史若道ものであるからして、自然、いわゆるボーイズラブという恐怖の館に投稿してきた。
しかし、である。そのジャンルと蒼樹の目指すものの方向性は180度とは言わないまでも、120度は確実に異なる(どういう基準だ?)。
筆力はともかくとして、これまでの応募作にはほぼ全てに渡って知識のない、歴史ものに興味のない若い女性読者にも通じるように、と講評が付いた。
知識がなければ読めない小説を書く気はない。しかし歴史に興味のない若い女の子をターゲットとしたものを、というのは自分には合わないのだ、との結論に辿り着いたのである。

蒼樹仁の信条は史実を歪めるな、素材を生かして美味しく破壊的な味付けをせよ、である。だから基本的な学校で習うくらいの知識は求めるし、それを足掛かりとした想像の飛躍もしばしば行っている。
そして当然、この頃都にはやる戦国武将ゲームやらアニメやらは受け付けない。食わず嫌いではないのだ、幾度か生暖かく眺めてみたのだから。


「ならぬ。儂は好かぬ」
蒼樹は、ふう、と息を吐き出して天を仰いだ。
「何ゆえにああまでなのだ。理解に苦しむわ」
「人の価値観とはお主がもののみが正しい訳ではあるまい」
「であってもだ」
蒼樹は諭してきた傍らの友をじれったそうに見遣る。
「まあな。お主の言わんとする事も解らぬではない。が、己が見方を他人に押し付けるは狭量に過ぎるぞ、仁」
友は、とん、と蒼樹の前に抹茶碗を置く。
「おお、京はやしやが抹茶か。美味そうではないか」
蒼樹は全身に喜色を湛えて乗り出し、茶碗を手にした。
「結構なお手前にござった」
茶を啜り切って満足げな蒼樹に友は静かに尋ねた。
「それで、お主は如何にするのだ」
「ん?」
蒼樹は不思議そうに友を眺める。
「儂は今何か話しておったか?」
友は目をしばたかせ、諦めた様に微笑した。
「いや。茶の加減が良いと言っておった」
「そうであろう。儂は茶が殊の外好きだからな」
(人の恨みも悲しみ苦しみも、こやつが頭の如くに一瞬で駆け去ってしまえば良いのになあ)
友は屈託なく黒文字で茶菓子を刺して口に放り込んでいる蒼樹に干菓子も勧めてやりながら、そっと溜息をついた。



あー。。いやいや、ともかくですね、歴史完無視もキャラクターをどぎつくするのも、エロ最重要視も、どれも嫌じゃ。嫌じゃ嫌じゃ、あずまに行くのは嫌じゃわいなあ。(歌舞伎のお姫様の台詞だが、何の演目だったか忘却の彼方へー。)
新選組の連中なぞは元々が恐ろしく個性的だから、労せずして強烈な登場人物となる。今回改稿した幕末ものも、別にそう無理やり意図しなくて強烈主従となった。
しかし、しっとりと穏やかに、ゆったり時を流したい事も往々にしてある。幾つか彼の恐怖の館の小説も見てみたが、どれもかなり性格がはっきりくっきり。プリンターか眼鏡の宣伝に使ってやったらー? てなものだ。

人を惹き付ける個性の強い登場人物は無論ある程度必要だろう。でも、ただ優しい時が流れる、命の讃歌があってもいいじゃないか。それに、ハッピーエンドだけが書きたいほどの夢見る少女じゃいられない。(……ん? 語尾になんかどこかで聞いた歌詞が)
だから、ボーイズラブとやらは、あっしにはもうかかわりのねえ世界でござんす。



(まあともかく仁は何かを選び取ったと見える)
友は蝶の干菓子を陽にかざしてにこにこ笑っている蒼樹に慈顔を向けた。
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