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だ……第四回でございます。。ぜえぜえ。




どの日本の城が好きかと聞かれたら、理性は姫路城、乙女な感情は会津若松城と高知城と答える。


いとをかし、なんて優雅に言っていられる余裕なぞない、シビれるのである。10万ボルトだ、電気ウナギだ。

姫路城、白鷺の優雅な佇まいはもとより、その防御の華麗さにもシビれずにはいられない。
天守閣に向かっているはずなのに目標からどんどん遠ざかり、いざ攻め入らんと上を目指しているつもりでどんどん下らされる。

……浪漫よ、浪漫だわっ。これはカタカナであってはならない。
そんなマロンだのマカロンだのを想起させる甘いほわわんとしたものではいけないんである。
かといってセピア色に褪せてもいないんだけどね。
颯爽と風を受け雨に打たれ、気高く堂々たる姿を味気ないコンクリートめらに見せ付ける……シビれます、お屋形様。シビれずにいらりょうか。

会津若松城。
またの名を鶴ヶ城とも言うが、昔書いた小説のせいで何となく若松城の方が好き。

ここは『荒城の月』に歌われた名城である。
明治の会津戦争においてぼろぼろにされた過去を思うと涙が止まらない。
会津のもののふってのは何と清く潔いのであろうか。
時流になぞ流されず、己の信ずるところを貫いてその命を散らす。
まさに武士道を体現したすがすがしさである。
男だけでなく、女性も勇ましい。国の為に自害する事など厭いもしない。……太平洋戦争あたりの軍国主義とはまた違うので、そこんとこお間違いなく。

まあともかくその誇り高き会津武士たちの爽やかさと、それがゆえに起こった悲劇が相まって涙を誘われずにはいられない。

明言はしておられないけど、中村春菊先生の『Hybrid child』という作品はもろそのあたりの話がベースにある。
本当に切なくて悲しくて愛しくて、あの漫画はやめていただきたい。いや、ぜひともご一読いただきたい。
キャッチコピーからして胸を締め付けられる。超売れ売れ中村てんてーの作品の中でもひときわ光り輝いている。あ……駄目だ、思い出しただけで涙が出てきた。


高知城も長宗我部に入れ込んで見てみると切ないものがある。
かつて支配者であった長宗我部氏の残党は家康に命ぜられて入ってきた山内氏によって弾圧され、下士という屈辱的な扱いを受ける。
それがまた幕末期の反幕運動の原動力でもあり、藩主山内容堂公がいまいち態度を決められなかったのもそのあたりに原因があろう。
容堂公とて懐に抱く家臣たちの幸せを願い、同時に外様とはいえ平穏無事な世を保ち続けた徳川を思って懊悩したのであろう。
長宗我部現当主はいまだ高知城を眺めると涙が出そうになるとおっしゃっておられた。
しかし支配者となった山内氏にも様々思うところはあったであろうと私は思わずにはいられない。

そういった事を考えると、ああ綺麗だねえ、だけでは終わらない感慨が沸き起こってくるのである。
城郭としても素晴らしく、姫路城ばりのトラップだらけなのだが、どうしてもそんな事をまず思ってしまう。
本丸御殿が現存する唯一の城でもあるから、資料的価値もものすごく高い。


あとはもう城の建物自体はないのだけれど、高遠城址。
天下第一の桜と評される桜の名所で、1500本のタカトオコヒガンザクラが咲き乱れます。
ここは城内ももちろんいいんだけれど、町自体が非常に美しい。

実は桜の頃には行っていなくて訪問したのは五月だったのだけれど、その緑の洪水に浸って心が洗われた。
夜になると町の明かりが宵闇に揺らめいて、油滴天目茶碗の底に居るがごとき幻想的な光景を見せてくれました。

観光客がほぼゼロだったせいで学芸員さんを二時間くらい独り占めして本当に楽しいお話も聞かせていただきました。
ブッダの言葉、「ごらん、この世は美しい……」を体感させていただいた感じでした。


城、この気高く美しい、浪漫を建材とした芸術品。
世界に絶景はあまたあれど、かほどさように胸躍らせてくれる人工建造物は今のところ、私には存在しない。
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